カウントリーハウスその1

井上 麻佐子

日本でも、昨年から放送されている「ダウントンアビー」は、イギリスが華やかなヴィクトリア朝時代の習慣を色濃く残す1912年、タイタニック号沈没のニュースに驚く貴族のカントリーハウスでの暮らしぶりからスタートします。

このドラマは、実際に貴族が今なお住むハイクレア城というカントリーハウスで撮影され、ドラマの制作者であり脚本家でもあるジュリアン フェローズ自身も貴族院所属の男爵となった人物ですから、その心理描写がリアリティー溢れるのも頷けます。

このドラマの舞台ともなった「カントリーハウス」とは、いくつもの部屋を有するお城のような貴族の館であり、素晴らしい庭園(garden)、そして、見渡す限りの整備された領地(park)の中に、ゆったりと建っています。

そこでは、広大な土地からの地代や祖先からの遺産で生活をし、ボランティアや友好活動など、「収入を得ない事が仕事」の貴族たちと、その生活を支える使用人たちが暮らしています。 使用人と一口に言ってもそこも階級制です。 トップである執事を意味するバトラーは、ボトラーが語源。もともと、館の大切なワインを管理する信用ある役割だったのですね。 ドラマなどでも、温厚で毅然として貴族たちにも頼りにされ、機転が利くのにちょっと頑固おじさんとなっています。また、お客様が到着されて、まず、ドアを開けるのはフットマンの役目。 地位が高い職業ではありませんでしたが、ここに抜擢されれば、イケメンの証です!

これから数回にわたり、実際訪れる時にはもちろんですが、映画やドラマを観る時の予備知識として、そんな貴族や使用人たちの生活の場である「カントリーハウス」をご紹介します。

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井上麻佐子のプロフィール

井上麻佐子井上 麻佐子 (いのうえ まさこ)
株式会社ザ・ブーケ 代表取締役

慶應義塾大学 経済学部 卒業後
モルガン銀行 リーマンブラザーズ証券会社 勤務
イギリス在住を経て、
株式会社ザ・ブーケ代表取締役に就任。現在に至る。

外資系金融業界を経て、イギリスにて、花装飾と生活芸術の世界と出会い、
1988年より、ヨーロッパ上流社会の生活の中での芸術、文化、習慣を学ぶ。
帰国後、花装飾の仕事とともに、2009年より、The Art of Living(生活芸術)の講座、
講演、および、執筆活動を行い、ヨーロッパの行事、習慣などを、様々な角度から、そのストーリーととも伝える活動に従事。
旅行に行ったり、映画を見たり、絵画を鑑賞したりする、現在に生きる私たちの楽しみが、より深くなる、楽しいヨーロッパの歴史、習慣をわかりやすく紹介。
美術館鑑賞 他、多数のイベントを企画。
2013年〜2015年 NHKラジオ第1 「ごごまり〜」レギュラー出演
〜暮らしに華を〜担当:毎回、ヨーロッパの伝統文化、習慣などを生放送で解説
2014年、2015年と、講座受講者とともに行く、「イングランド、スコットランドのツアー」を開催している。

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