英国への旅支度

井上 麻佐子

ヨーロッパ伝統文化研究家/フラワーアーティストの井上麻佐子です。

「英国への旅支度」
楽しい旅行に出かける前に、少しだけ、私が以前、暮らしていた英国を中心としたヨーロッパの伝統や習慣をお伝えしたいと思います。私たちの身近なところから紐解けば、遠い国の伝統や文化も、意外と私たちの「今」の生活に密着していることがわかります。
はじめはとっつきにくい歴史も、縦糸と横糸が組み合わさっていくと、とても頭に入りやすいものなのです。

着やすいお洋服、その場にふさわしいドレスをトランクに詰めるように、旅の前にちょっとその国を学んで、さぁ、「なるほど!」と頷く素敵な旅に出かけましょう!

20160121_1さて、
今朝、「マーマレード」を食べましたか?
マーマレードは、朝のジャムです。
紅茶を優雅に楽しむアフタヌーンティーには、
マーマレードは出ません。
(その理由は別の機会に。)
皮まで大切に使うオレンジ。。

暖かいところでしか育たないオレンジは、昔は貴重品であり、また、「多産や繁栄の象徴」でありました。今では、簡単に手に入るオレンジやキュウリは、昔は、温室がなければ育たなかった貴重なもの。 特権階級の食べ物であり、それを出すだけで、何も言わなくても、自分の富を知らしめることができたのです。

ですから、ルネッサンス期のフィレンツェで、大繁栄しているメディチ家から依頼とされたボッティチェリが描いた「プリマベーラ」には富を示し、繁栄のシンボルである「オレンジの木」が描かれています。これは、絶対に、リンゴ(アダムとイブが食べてしまった禁断の果実リンゴ=人間の原罪の象徴ですから)ではダメだったのです。

20160121_2

それからおよそ350年後、イギリスが7つの海を制覇した大英帝国時代の女王ヴィクトリア。 彼女が婚礼のときに頭に乗せたものも、オレンジの花冠。。それには、一人に女性として子宝に恵まれるようにという思いと女王としての大英帝国の繁栄の願いが込められていたのです。
ちなみに、私たちが何の疑問も持たず、結婚式で着る真っ白なウエディングドレス。 白いウエディングドレスを着る習慣を世界に広めたのも、ヴィクトリア女王です。

遠いヨーロッパで生まれた伝統文化も、私たちの生活の意外と近くにあると思うと、なんだか、身近に感じられるものですね。

**************************************

アート オブ リビングでは、白金台にて、お仕事の時の何気ない会話にも役立つ教養を楽しく学ぶサロンを開催しています。 maco-style.jp

井上麻佐子のプロフィール

井上麻佐子井上 麻佐子 (いのうえ まさこ)
株式会社ザ・ブーケ 代表取締役

慶應義塾大学 経済学部 卒業後
モルガン銀行 リーマンブラザーズ証券会社 勤務
イギリス在住を経て、
株式会社ザ・ブーケ代表取締役に就任。現在に至る。

 

外資系金融業界を経て、イギリスにて、花装飾と生活芸術の世界と出会い、
1988年より、ヨーロッパ上流社会の生活の中での芸術、文化、習慣を学ぶ。
帰国後、花装飾の仕事とともに、2009年より、The Art of Living(生活芸術)の講座、
講演、および、執筆活動を行い、ヨーロッパの行事、習慣などを、様々な角度から、そのストーリーととも伝える活動に従事。
旅行に行ったり、映画を見たり、絵画を鑑賞したりする、現在に生きる私たちの楽しみが、より深くなる、楽しいヨーロッパの歴史、習慣をわかりやすく紹介。
美術館鑑賞 他、多数のイベントを企画。
2013年〜2015年 NHKラジオ第1 「ごごまり〜」レギュラー出演
〜暮らしに華を〜担当:毎回、ヨーロッパの伝統文化、習慣などを生放送で解説
2014年、2015年と、講座受講者とともに行く、「イングランド、スコットランドのツアー」を開催している。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ページ上部へ戻る