カウントリーハウスその2

井上 麻佐子

今日は、実際訪れる時にはもちろんですが、映画やドラマを観る時の予備知識として、そんな貴族や使用人たちの生活の場である「カントリーハウス」をご紹介の第2弾です。

中世の荘園館であったマナーハウスがカントリーハウスになっていったものもありますが、多くのカントリーハウスが建てられ始めたのは16世紀の頃のことです。
かの有名なチューダー朝ヘンリー8世は、カトリック教会と袂を分かち、英国国教会を樹立。その時没収した、修道院の財産と土地を家臣に分け与えたのがきっかけだと言われています。 館の名前にアビー(abbey=修道院)とつくものがあるのは、その名残りです。

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(ダウントンアビーは架空の名前ですが、アフタヌーンティーの生みの親であるベッドフォード公爵夫人が暮らしたウォーバンアビーなどがそうです。)

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ヘンリ−8世の娘 エリザベス1世の時代、イングランドは、繁栄し平和な世の中となっていきます。 こうなると、外敵から身を守る砦のような館から、窓や開口部が大きく住み心地の良いスペースや眺めのよい庭が求められていくのも当然です。 また、女王様のお楽しみは地方の家臣の邸宅巡り。 恐れ多くも、女王様がいらっしゃるとなれば、見栄もなりたくなるものです。 このようないろいろな要因が相まって、カントリーハウスは貴族たちがこぞって贅を尽くし、素晴らしい景観を持った豪華な大邸宅となっていったのです。

現存するカントリーハウスは、チューダー朝の部分は残しつつも、17世紀以降、イタリアの建築をお手本として建て替えれたものがほとんどですが、貴族の財政事情が厳しいこともあり、たくさんのカントリーハウスが一般公開されています。

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井上麻佐子のプロフィール

井上麻佐子井上 麻佐子 (いのうえ まさこ)
株式会社ザ・ブーケ 代表取締役

慶應義塾大学 経済学部 卒業後
モルガン銀行 リーマンブラザーズ証券会社 勤務
イギリス在住を経て、
株式会社ザ・ブーケ代表取締役に就任。現在に至る。

外資系金融業界を経て、イギリスにて、花装飾と生活芸術の世界と出会い、
1988年より、ヨーロッパ上流社会の生活の中での芸術、文化、習慣を学ぶ。
帰国後、花装飾の仕事とともに、2009年より、The Art of Living(生活芸術)の講座、
講演、および、執筆活動を行い、ヨーロッパの行事、習慣などを、様々な角度から、そのストーリーととも伝える活動に従事。
旅行に行ったり、映画を見たり、絵画を鑑賞したりする、現在に生きる私たちの楽しみが、より深くなる、楽しいヨーロッパの歴史、習慣をわかりやすく紹介。
美術館鑑賞 他、多数のイベントを企画。
2013年〜2015年 NHKラジオ第1 「ごごまり〜」レギュラー出演
〜暮らしに華を〜担当:毎回、ヨーロッパの伝統文化、習慣などを生放送で解説
2014年、2015年と、講座受講者とともに行く、「イングランド、スコットランドのツアー」を開催している。

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