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イギリスの教育

昨年7月末にイギリス、ロンドンの南西にある、サリー州New Maldenに引越し、13年ぶりのイギリス生活を送っています。 

久しぶりに見たイギリスで驚いたことは、イギリス人の生活が物質的に非常に豊かになったことでした。 

家の改修工事が進み、自家用車が高級化し、バケーションにかける出費が増え、私がかつてイギリス人に描いていた、質素で地味な印象は、覆されました。


そんな経済活動が活発で、人々が生活を謳歌しているような状態を、最初は、非常に肯定的にとらえていたのですが、少しずつイギリスが抱える社会問題が見えてきました。


わたしは、今回の滞在では、15歳の娘の教育、学校のPA活動、日本文化紹介のボランティアに焦点をあてた生活を送っていますが、こちらでの活動を通して、イギリス社会の様々な側面をご紹介していきたいと思います。


今回は、まず15歳の娘が通うインターナショナル・スクールの紹介と、高校生に求められる学力について、お伝えします。 

娘の通う学校は全校生徒数300名弱の小規模の女子校で、日本の中高一貫校にあたるような学校です。 

インターナショナル・スクールの名のとおり、ヨーロッパ、アメリカ、アジア、アフリカなど、30以上の国から生徒が集まり、三分の一の生徒が親元を離れ、寮生活を送りながら、勉強に励んでいます。

一般的なイギリスの高校がイギリス独自の統一試験であるA-levelの取得を目指すのに対し、この学校では、国際的に高校卒業の資格として認められている、インターナショナル・バカロレア・ディプロマ(略してIB ディプロマ)取得のためのカリキュラムを取り入れています。


このIBディプロマは、最近インター以外の私立でも徐々に取り入れられ、その知名度が上がってきています。 
(IBディプロマの内容・特色については、次回以降、くわしく説明させてもらうことにします)


IBディプロマは2年間のコースになっており、去年の9月からこの学校の10年生(日本の高校一年生に相当します)に編入した娘は、その準備段階の学年に入ったこととなり、大変な苦労をしています。


その原因は、英語力の不足によるところも大きいですが、生徒に求められる学力の質が日本と大きく違うことにもあります。 


日本では、AO入試なども大幅に導入されてきていますが、基本的には、莫大な量の事実を覚え、複雑な問題を解くためのテクニックを習得することが、難関大学の入試を突破するためには、必要とされ、高校でも、そのための技術を磨くために時間が使われます。


それに対して、こちらの学校で求められることは、授業で学んだ事柄に対し、さらに資料を自分で探し、さまざま事実を自分で分析し、そこから自分自身の考えを構築し、その考えを、効果的に、適切な表現を使って、文章にすることです。


これは、Liberal Arts(人文科学)の分野で、特に、法律を専攻する学生には、必修科目とされる歴史において、顕著です。


たとえば、最近、娘が与えられた宿題の一つは、国際連盟が失敗に終わった原因について1200字以上のエッセイを書くことでした。

1200字以上とは、おおよそA4にフォント10.5で3枚以上になります。 

この量の英文を、導入部、本文、そして結論に分け、導入部では、タイトルで問われていることに対する自分の考えを集約して述べ、本文では、自分でリサーチしたことを分析しながら、論述し、結論では、自分の意見がいかに正当であるかを、より強く訴える、という形式で書きあげます。


ここで大切なのは、いくつかの原因が考えられる中で、自分がより重要であると考えたポイントを絞りこみ、その理由をあくまでも論理的に相手を説得できる力です。


広く浅い知識も、教養として大切かもしれませんが、こちらでは、一つのことをどれだけ深く考えられるか、自分の考えを公にアピールできるかが、問われるようです。

望月和子

日時:2008年6月10日 09:33 投稿者:

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