マナーその2

井上 麻佐子

まず、お席へは、左側からどうぞ。 これは、もともと、サーベルを腰の左側に持ったまま着席した騎士たちのために始まったそうですが、晩餐会などの時。。もっと身近には、結婚式の乾杯などで起立する時、それぞれがバラバラではぶつかってしまいます。 全員が左側から出る、入るを守ればスムーズですね。 そのために、背中に置けない大きめのバッグは右の足元に置くことをお勧めします。
もし、忘れてしまったら、右利きの騎士が持った剣を思い出してくださいね。

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さぁ、着席したら、目の前にはナプキン。
これ、いつ、広げるの?

普通のお食事会の場合は、最初の飲み物、または、食べ物が運ばれて来るのが見えたら、ナプキンを半分に折り、膝に敷きます。
くれぐれも、着いて早々、ナプキンに手を伸ばさないように。
中座の時は、座面の上に、食事の後は、きちんとたたむことのないようにしてください。
ナプキンをきちんとたたむと「あまり美味しくなかった」という合図になってしまうようです。

ナプキンの生い立ちは、手づかみで食事をしていた頃まで遡ります。
食事中、使用人達が持ってきたベーズンとユーアーと呼ばれる水差しと桶で手を洗った後、彼らが肩からかけていたバスタオル大の布で手を拭いたのです。 遠くは、それがナプキンのルーツです。
やがて、まだ、白いテーブルクロスを敷くことができる身分が限られていた13世紀頃、招かれた人たちは、テーブルクロスの裾を襟元やベルトに差し込みました。
時代の流れの中で、テーブルクロスから切り離されたナプキンは、16世紀頃になると、首に巻き付けられ、両側から広げて下げるように。17世紀、勲章や宝石が胸元に飾られ始めると、ナプキン留め自体が宝石で作られるようになり、これが、ブローチの始まりと言われています。

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マナーにがんじがらめになって、窮屈だったり、ぎこちなくなったりしたら、これは、本末転倒。
マナーは、本来、身体の動きがその場に即して合理的に成り立つようにするためのものだからです。そして、あなたを含め、周りの誰一人も、不愉快な思いをしなくてすむようにするための配慮なのですから。

もし、わからなくなったら。。。
1.自分を周りの人に置き換えて、一番、快適であることを思い浮かべてください。
2.動線が、一番、シンプルな方法を思い浮かべてください。

マナーは「思いやり」なのです。
10月をもちまして、私のブログを終了させていただきます。
ありがとうございました。
みなさまの暮らしに、わずかならも、お役に立てば嬉しいです。

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アート オブ リビングでは、白金台にて、お仕事の時の何気ない会話にも役立つ教養を楽しく学ぶサロンを開催しています。 maco-style.jp

井上麻佐子のプロフィール

井上麻佐子井上 麻佐子 (いのうえ まさこ)
株式会社ザ・ブーケ 代表取締役

慶應義塾大学 経済学部 卒業後
モルガン銀行 リーマンブラザーズ証券会社 勤務
イギリス在住を経て、
株式会社ザ・ブーケ代表取締役に就任。現在に至る。

外資系金融業界を経て、イギリスにて、花装飾と生活芸術の世界と出会い、
1988年より、ヨーロッパ上流社会の生活の中での芸術、文化、習慣を学ぶ。
帰国後、花装飾の仕事とともに、2009年より、The Art of Living(生活芸術)の講座、
講演、および、執筆活動を行い、ヨーロッパの行事、習慣などを、様々な角度から、そのストーリーととも伝える活動に従事。
旅行に行ったり、映画を見たり、絵画を鑑賞したりする、現在に生きる私たちの楽しみが、より深くなる、楽しいヨーロッパの歴史、習慣をわかりやすく紹介。
美術館鑑賞 他、多数のイベントを企画。
2013年〜2015年 NHKラジオ第1 「ごごまり〜」レギュラー出演
〜暮らしに華を〜担当:毎回、ヨーロッパの伝統文化、習慣などを生放送で解説
2014年、2015年と、講座受講者とともに行く、「イングランド、スコットランドのツアー」を開催している。

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