フランス料理の歴史その2

井上 麻佐子

時は経て、ナポレオンの時代。アントナン カレームとオーギュスト エスコフェという2人の史上に残る優れた料理人が登場します。 タレーランやサヴァランなどの研ぎ澄まされた味覚を持ち合わせた、いわゆる「美食家」と言われる人たちの存在により切磋琢磨を余儀なくされた彼らの技術、能力は見事に開花し、フランス料理をさらに洗練させていきました。

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この時、「食卓外交」という言葉が生まれます。

武器で戦うのではなく、食事の内容、そして、食卓を中心としたすべての調和を芸術として国の美意識のレベルの高さを示したのです。
オーギュスト エスコフェは、それまでいっぺんに供されていた料理に、コースメニューという発想を導入します。

ルイ14世の時代、豪華絢爛を見せびらかす公開食事は、確かに、一度にテーブルを飾ることで、見た目の迫力はあるかもしれませんが、実際に食べる人は、少々冷めた、または、少々、温まってしまった料理を食べることになるのですから、食べるほうも作るほうも残念です。

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エスコフェの発想により、出来立てのお料理を一皿ずつ、一番美味しい状態で提供するという形式が整うと、さらに、そのコースでは、何が食べられるのかわかるように、「メニュー」が登場します。 宴席メニューは、ゴッホ、ルノアール、ミシャが挿絵を描いたものもあり、大切なものとして、今でも、持ち帰るのがマナーです。

 

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