ハノーバー朝 ジョージ1世&ジョージ2世

井上 麻佐子

「クィーン アン スタイル」の家具なので、聞いたこともあるアン王女。
子供がなかった王女の死により、スチュアート朝は終焉を迎えます。

次にイギリス王となったのは、ハノーバー選帝侯ゲオルグ(=英名ジョージ)。血が絶えないことが何より重要なイギリス王家にとって、その血を引く末裔40名。 そのうち、プロテスタントだったのはたった一人、アン王女がなくなる前の月に他界したゾフィー。

その息子がハノーバー朝ジョージ1世として、次のイギリス王となったのです。

。。と言っても、55歳でやってきたジョージ1世、一緒に一行にいた息子、のちのジョージ2世も、生粋のドイツ人。
男女も問わず、英国の習慣も英語すらも全くわからない血縁者すら、自国の王様にしてしまうところ、私たちとは少し感覚が違いますね。
ある時、天皇家と血縁のある、韓国語しか喋れない人がやってきて、「これから私が天皇ですよ。」 と言われたら、受け入れるのに、少し時間がかかりそうですものね。

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ジョージ1世(右)と息子ジョージ2世 (ウィキペディアより)
さすが、親子。 似てますね!

ところで、「〜〜朝」という言葉。
イギリスでは、苗字のような感覚で、王室が直系から親戚筋に変わるときに一緒に変わります。国が滅びて、新しい国になるわけではないので、割と頻繁に「〜〜朝」が変わるわけですね。
ただし、ジョージ5世のときには、第一次世界大戦でドイツと戦うことになり、ドイツ読みのサクス・コバーグ・ゴーダ王家から、居城であったウィンザー城から名前をとり、ウィンザー朝と改名し今に至ります。

さて、3代目、ジョージ3世。 今でも、イギリス人の大好きな「ファーマージョージ」と呼ばれる王様。
イギリスで生まれ、イギリスで育つことで、やっと、イギリス人の感性を持つ「イギリス人」が王様となったのです。 そのお話は次回に。

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井上麻佐子のプロフィール

井上麻佐子井上 麻佐子 (いのうえ まさこ)
株式会社ザ・ブーケ 代表取締役

慶應義塾大学 経済学部 卒業後
モルガン銀行 リーマンブラザーズ証券会社 勤務
イギリス在住を経て、
株式会社ザ・ブーケ代表取締役に就任。現在に至る。

外資系金融業界を経て、イギリスにて、花装飾と生活芸術の世界と出会い、
1988年より、ヨーロッパ上流社会の生活の中での芸術、文化、習慣を学ぶ。
帰国後、花装飾の仕事とともに、2009年より、The Art of Living(生活芸術)の講座、
講演、および、執筆活動を行い、ヨーロッパの行事、習慣などを、様々な角度から、そのストーリーととも伝える活動に従事。
旅行に行ったり、映画を見たり、絵画を鑑賞したりする、現在に生きる私たちの楽しみが、より深くなる、楽しいヨーロッパの歴史、習慣をわかりやすく紹介。
美術館鑑賞 他、多数のイベントを企画。
2013年〜2015年 NHKラジオ第1 「ごごまり〜」レギュラー出演
〜暮らしに華を〜担当:毎回、ヨーロッパの伝統文化、習慣などを生放送で解説
2014年、2015年と、講座受講者とともに行く、「イングランド、スコットランドのツアー」を開催している。

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