イギリスを征服したのはフランス人。

井上 麻佐子

先週の「英国王室1」でもお話しした通り、アングロサクソン王家、デーン王家、そして、ノルマン人。。この三つ巴の戦いで、イングランドを征服したのは、フランスからやってきた「ノルマンディ公爵ウィリアム」でした。

つまり、イギリスを征服したのはフランス人。
当然、上流階級の公用語は、フランス語。そして、英語は、被征服者つまり、民数の言葉でした。 イギリスは、国土をフランスに征服されましたが、民衆によって簡略化されて、使い勝手の良い英語は、やがて世界を征服することになるのです。

ノルマン王家により征服されたイギリスは、ノルマン朝からプランタジネット朝へと移り、100年戦争を経て、薔薇戦争が起こります。 プランタジネット朝始まりあたりは、「冬のライオン」という映画を観ると様子がわかると思います。 「ヨーロッパの祖母」と呼ばれ、広大な土地を持ってイギリスに渡ってきた王妃エレアノールをキャサリン・ヘップバーンが、そして、その夫であるヘンリ−2世(1133年−1189年)をピーター・オトゥールが演じています。

また、エドワード1世(1239年−1307年)イングランド王の侵略に立ち向かうスコットランドの勇者ウィリアム・ウォリスの生涯を描いた「ブレイブハート」もプランタジネット朝時代の歴史映画です。 メル ギブソン監督、主演。
これには、戦闘に向かうウィリアム・ウォリスに、ソフィー マルソー演じる恋人がアザミのモチーフのハンカチを手渡すというシーンがあります。 アザミはスコットランドにとっては、救国の花。 その昔、北海からヴァイキングの夜襲にあった際、ヴァイキングの兵士たちは、スコットランドに自生するアザミの棘を踏み、大声を出してしまいました。 これを聞いたフコットランド軍は敵の存在をキャッチして応戦。 勝利したと言い伝えられています。 恋人が差し出したハンカチに描かれたアザミには、無事に国を救って欲しい。。というメッセージが込められているのです。

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さて、薔薇戦争を起こした赤い薔薇のランカスター家と白い薔薇のヨーク家。その両家は、ランカスター家のヘンリ−7世とヨーク家のエリザベスの婚姻により一つとなり、赤い薔薇の中に白い薔薇の紋章をいただくチューダー朝が始まります。

次回は、チューダー朝。 ヘンリ−8世やエリザベス1世のお話です。

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井上麻佐子のプロフィール

井上麻佐子井上 麻佐子 (いのうえ まさこ)
株式会社ザ・ブーケ 代表取締役

慶應義塾大学 経済学部 卒業後
モルガン銀行 リーマンブラザーズ証券会社 勤務
イギリス在住を経て、
株式会社ザ・ブーケ代表取締役に就任。現在に至る。

外資系金融業界を経て、イギリスにて、花装飾と生活芸術の世界と出会い、
1988年より、ヨーロッパ上流社会の生活の中での芸術、文化、習慣を学ぶ。
帰国後、花装飾の仕事とともに、2009年より、The Art of Living(生活芸術)の講座、
講演、および、執筆活動を行い、ヨーロッパの行事、習慣などを、様々な角度から、そのストーリーととも伝える活動に従事。
旅行に行ったり、映画を見たり、絵画を鑑賞したりする、現在に生きる私たちの楽しみが、より深くなる、楽しいヨーロッパの歴史、習慣をわかりやすく紹介。
美術館鑑賞 他、多数のイベントを企画。
2013年〜2015年 NHKラジオ第1 「ごごまり〜」レギュラー出演
〜暮らしに華を〜担当:毎回、ヨーロッパの伝統文化、習慣などを生放送で解説
2014年、2015年と、講座受講者とともに行く、「イングランド、スコットランドのツアー」を開催している。

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